【009号】ピアノコピーに関する小噺


 

こんにちは、佐野です。

前回コピーライティングについて書きました。

「コピーライティングとは、印刷されたセールスマンだ」という、
そのまんまコピーとして成立してしまっている文言でしたね。

 

さて、今日はピアノコピーについて触れたいと思います。

僕がウォールストリートジャーナルと並んで、
よくオンラインセールスの時に使っていたコピーです。

皆さんは、こんな文言を見たことはありませんか?

『彼がピアノの前に座ると、皆は大いに笑った。』
『ところが、彼がピアノを弾き始めると・・・』

笑われていたはずの『彼』は
実は物凄いピアニストだった為、
最初笑っていた誰もが呆気に取られてしまう
というストーリーが本筋。

元々はジョン・ケープルズというコピーライターが、
音楽教室の宣伝のために考案したものと言われています。

ピアノなど弾けると思われていない、主役としての『彼』
そんな『彼』を事前に嘲笑する、仮想悪役としての『聴衆』

蓋を開けてみれば、
笑っていた聴衆が逆にやっつけられてしまう姿に、
ちょっとしたカタルシスを与える効果があります。

*このあたり、いかにもアメリカ的発想だな~と思います。


それではピアノの前に座る『彼』を
サイトユーザーの心理にトレースしたらどうでしょう。

 

『ひょっとしたら、自分にもピアノが弾けるのでは』

『ピアノは自信がないけど、こういう展開になったら面白い』

『実際、ピアノが下手くそだと言われているので、同じ思いをしたい』


こんな風に思ってしまうかも知れません。

その時点で既に、
教室に入った後の自分が想像されているのです。

そう思わせてくれるのが、ピアノコピーの力です。

 

コピーにおいて大事なのは商品の説明よりも
お客様が商品を手に取った時の姿を
鮮明に想起させることではないでしょうか。

商品を売る=セールスということは、
お客様の理想的な未来を叶えてあげること。

その、セールスの為にコピーがあるのですから。

そのテクニックは様々ですが、
ピアノコピーは消費者=お客様の微妙な心理を、
短い文体の中で表し切っている点で非常に興味深いと思います。

 

僕の場合は、ただまるっと使うのではなく
「悩み」「不安」を解消するまでのストーリーを、
強めに書くことを念頭に置くようにしています。

何故なら、悩みやコンプレックスの解消ほど人の

「早く動かなければならない」

という心理(メンタルトリガー)を動かしやすいからです。

欲しいという心理状態では、
まだ購入に踏み切れないことがあります。

この心理をコピーの力で、
「今、この場で買わなければならない」
という心理状態に持っていけるかどうか。

ペルソナ(理想顧客)となる方が、
どんな不安や悩みを抱えているかを事前に洗い出した上で、
その悩みを解決するオファーであることを意識しています。

もちろん、あまりにも効果を誇張してしまうと
誇大広告になってしまうので、
その点はご注意くださいね。