来年の干支は癸卯(みずのと う)
こんにちは。
デザイナーの中田です。
師走。
いよいよ今年も残りわずかとなりました。
年神様も寅さんから卯さんへ…。
その「寅」や「卯」の総称が「十二支(干支)」だって事は皆さんご存知ですよね。
十二年毎に巡ってくる…。
けれど十一年前の「卯」さんは、来年の「卯」さんとは別物なんです!
十一年前は「辛卯(かのと う)」、来年は「癸卯(みずのと う)」。
これは何かといいますと、「十干十二支」(じっかんじゅうにし)という
はるか3600年前の中国 殷で生まれ、渡来したサイエンスに基づきます。
もともとは日を数えるための符号であった十干(じっかん)
(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と
月を呼ぶための符号であった十二支(じゅうにし)
(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)が一つになって
日や年を数えるものとして使われるようになったのだとか。
甲(きのえ)、乙(きのと)
丙(ひのえ)、丁(ひのと)
戊(つちのえ)、己(つちのと)
庚(かのえ)、辛(かのと)
壬(みずのえ)、癸(みずのと)…
あれ?どこかで聞いたような?
そうです!アレです。
「鬼滅の刃」で隊士の階級に使われていましたね!
殷の時代に生まれた「十干」は、後に
『宇宙や人体など森羅万象は全て「木・火・土・金・水」
この五つの要素で構成されている』という
当時の最先端テクノロジー「五行説」(ごぎょうせつ)と結びつき、
前から二つずつを五行に当て、一つを兄「え」、一つを弟「と」としたため
きのえ(木の兄)→ 甲、 きのと(木の弟)→ 乙
ひのえ(火の兄)→ 丙、 ひのと(火の弟)→ 丁
つちのえ(土の兄)→ 戊、 つちのと(土の弟)→ 己
かのえ(金の兄)→ 庚、 かのと(金の弟)→ 辛
みずのえ(水の兄)→ 壬、 みずのと(水の弟)→ 癸 …
この呼び名が十干の文字にあてがわれたのです。
因みに、干支を「えと」と読むのはこの兄弟(えと)に由来しているのだそうです。
五行説では
風・雷・火・天・雨の五気、
酸・苦・甘・辛・鹹(塩味)の五味、
青・赤・黄・白・黒の五色など
様々なものを五つ一組で考えられており、
寺院の特別な行事の際に取り付けられる五色幕や
味覚の五味、五臓六腑の五臓、目・舌・口・鼻・耳の五官※1など
現代の日本でもその思想は息づいています。
更にこの五行説は春秋時代に生まれた「陰陽説」(いんようせつ)と結びつき、
「陰陽五行説」(いんようごぎょうせつ)となって
安倍晴明で有名な陰陽道(おんみょうどう)の起源となりました。
そしてこの十干と十二支がそれぞれ組み合わせられて十干十二支となり,
十干の10と十二支の12の最小公倍数である60の組み合わせが誕生するのです。
甲子(きのえね)、乙丑(きのとうし)、丙寅(ひのえとら)、丁卯(ひのとう)…。
醸造業者の「キノエネ醤油」や、高校野球でおなじみの「甲子園」※2、
道端にある「庚申塚」(こうしんづか)の石碑や、
歴史の授業で習った「壬申の乱」「戊辰戦争」、
果ては『丙午(ひのえうま)の女性は気性が激しいため夫が短命になる』(迷信ですよ!)
など、見聞きしたことがありませんか?
音読みと訓読みの違いがありますが、これ全部「十干十二支」からきているのです。
60で一巡りする十干十二支の年…。
つまり60歳を「還暦(かんれき・巡る暦ですね)で祝う」という風習はここからきており、
また「1」に戻るので、赤いちゃんちゃんこを着て
赤ちゃんに戻った事をお披露目するのですね。
あなたの生まれ年の六十干支は何でしたか?
それぞれの世代的な影響力・運勢が「納音五行」(なっちんごぎょう)によって説かれているので、
年の初めに、おみくじ感覚で調べてみると面白いかもですよ。
『一年の計は元旦にあり』、と云いますから。
最後に、来年 癸卯の納音は「金箔金」。その内容を記載しておきます。
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薄く打ち伸ばした金箔の金の意味である。
金泊は、古来、薬の中に入れたり、器などを飾るために用いられた。
同じように、この人の魂はあまり自己主張することはなく、
一緒にいる人を輝かせる能力がある。
人それぞれの持つよさを引き出す力があるので、
どこでも重宝がられるが、
自らが貴重な金であることも忘れてはならない。
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学習研究社/「陰陽道の本」より引用
それではまた~。
※1)漢方での五官。日常用語での五官は目・口・鼻・耳・皮膚を指し、
多少異なる。
※2)阪神甲子園球場が完成した1924(大正13)年が、十干十二支の
最初の「甲子」であったため、縁起が良いということで命名の由来となったそうです。